2017年(平成29年)度 警察庁の「平 成 2 8 年 に お け る 行 方 不 明 者 の 状 況」
において高齢者の動向について整理いたします。
1.70歳代は9,589人(構成比11.3%)、80歳以上は10,118人
(構成比 11.9%)と、70歳以上の行方不明者は平成24年以降年々増加し、
平成27年 の16,681人から18.1%増加。
人口10万人当たり 60歳代だと約32人なのが70歳代が約69人、
80歳以上だと約98人と急増しています。
2.認知症又はその疑いによるものは15,432人(構成比18.2%)と増加。
「認知症又はその疑い」の分析を始めた平成24年が9,607人(構成比11.8%)
です。
3.本統計では見つかっていない方の数が掲載されておりません。
自治体で保護している方、行方不明者並びに身元不明遺体などへの情報提供依頼を
見ていると数百人規模で見つかっていない方がおられます。
少年少女や成人を含め 年間8万人近くの方が行方不明者届を出されますがほとんど
発見されたり自宅に戻ったりしています。関係者の努力の賜物でありますが今後増加して
いく認知症発症者に対して 自助できるところは自助していく必要があると考えます。
すべてが認知症によるものではないと思われますが、特に高齢になるほど行方不明に
なる危険性への対策検討が必要と思われます。
現在65歳以上高齢者の認知症の方の割合は15%程度と推計されています。
ただし、今後も急増していきますので 対策が求められています。
出典:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~の概要(厚生労働省)を基に 三菱UFJ信託銀行作成
個人差はありますが年齢別の比率をみると 65歳頃から注意していく必要があります。
80歳からは認知症の症状が出ても当たり前、という認識が必要になります。
出典:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)より三菱UFJ信託銀行が作成
2017年(平成29年)度 内閣府発行の「高齢社会白書」で 2015年時点の
65歳以上高齢者世帯状況がまとめられています。
1.国内の全世帯数の47% 2372万世帯 に65歳以上の高齢者がおられます。
2.このうち 高齢者単独が624万世帯(26%)、高齢者同士が747万世帯(32%)を占め
徘徊する危険性がある場合、自身で「行方不明者届」は出せません。
所謂 認認介護の方や夫婦のどちらかの方が寝たきりの場合 支えている方が行方不明
になると共倒れのリスクが高まってしまいます。
未婚の子との同居も470万世帯(20%)ですが お勤めの時間は独居に
なってしまう方も少なくないと思われます。
デイサービスや訪問サービスを受けている方は事業者の方による所在確認が可能で
所在不明時には緊急連絡先と相談し対処が可能となっていますがどうしてもタイムラグが
発生してしまいます。
前述した 高齢者世帯数や認知症の発症率から類推すると 認知症の方といえど
行方不明になる方は少ないかもしれません。三菱UFJ信託銀行の資料で 2015年の
発症者525万人を母数とし 警察庁の行方不明者の状況 から 認知症が原因と推定
される12,208人を計算すると 0.23%です。
しかしながら、ケガや疾病で移動が困難な方を除くと 行方不明になるような行動をするかどうかについて判断できるものはありません。このため認知症を推測される症状や状態が出だした時点で 対策をとってください。
1.写真をとりましょう。
できれば個人個人の顔写真のアップ。捜索資料としても必要です。
A.レパートリーの着ている服
捜索資料としても必要です。
不明時 残ってない服=着ている服と推定します。
B.外出時の様子
捜索資料としても必要です。
歩行器の使用 や くせ などを伝えます。
2.ケガや疾病の状態を把握しましょう。
頭部のケガ、循環器、血圧、糖尿病などの生活習慣病の状態、
また服薬や通院が自身でできるのかも重要です。
3.認知症かどうかのチェックリストを試しましょう。
同じ話を繰り返す、話を繕う誤魔化す、名前が出ない、
小銭が多い、
家事掃除洗濯が苦手になっている、着替えない、冷暖の感覚がおかしい、
趣味がなくなった、好きだったテレビ番組を見ない、特にドラマを見ない
料理ができない、同じものばかりつくったり買ってくる、
冷蔵庫に同じものが入っている、冷蔵庫に普通入れないものが入っている、
冷蔵庫に入れるべきものを入れない、
食器が汚れている、食器棚が混乱している、
リモコンや家電機器の操作ができない、
などなど ネットを探せば様々なものがあります。
お正月やお盆休みなど 限られた機会にしか会えない方はたまに会うと変わったことに
驚く場合があるかと思います。さりげなくチェックやフォローしてください。
4.持ち物に名前や連絡先を書いたり名札をつけましょう。
行方不明時の対策で有効なのはやはりこれです。
ただし、住所を記載する場合は町名、丁目までがよいようです。
名前は カタカナで書きましよう。
5.スマホやGPS使えるかチェックしましょう。
機種変更すると使えなくなる場合があります。
電話、メール、充電のやり方を忘れないよう まめに連絡しましょう。
心配な場合や なんどか保護されたりした場合、当社サービスをご検討ください。